実践経営術エッセンシャル/第14回「課題とリスクの明確化」

前回のコラムまで、現状分析に関する内容を続けてきました。外部環境、内部環境の分析が終わったら、課題とリスクを明確化してみましょう。課題とは解決すべき問題を指します。また、ここではリスクを「危険」という意味で使用しています。

【現状分析のコラム】
第7回「現状分析7つのポイント」
第8回「外部環境」
第9回「内部環境分析」
第10回 「決算書分析ことはじめ」
第11回 「会社の成長と決算書の関係」
第12回「貸借対照表で読み解くお金の集め方」
第13回「損益計算書で読み解く利益の仕組み」

●課題の分類と対応

課題は、あぶり出して顕在化(見える化)することで行動に優先順位をつけることができます。たとえ課題が多くとも、できる限り考えられるすべての課題を書き出すようにしてください。

書き出してみると、課題は大きくふたつに分けることができます。ひとつめは現に生じた問題、もうひとつが生じる可能性のある課題です。現に生じた問題は、スピード重視でなるべく早く対応します。ちょうど止血のために絆創膏を貼るような感覚です。

生じる可能性のある課題は、「発生可能性」と「発生したときのダメージの大きさ」の軸で分類して対応します。その後、根本的な原因の追究と対応を検討します。以下で、具体的な課題への対応方法を確認しましょう。

【課題の分類と対応】

まず、発生可能性が高く、ダメージが大きいもの(①)は「緊急処置」をします。根本的対応は、発生可能性を抑えて緊急度を下げてからじっくりと行うようにします。

最も重要なのが、発生可能性があまり高くなく、深刻なダメージを受けそうなもの(②)です。中小企業では普段の業務に追われ、こちらの対応ができないので大きな問題になりやすいのです。したがって、こちらに意識を集中し、全力で抜本的な改善をしていきます。

発生可能性は高いけれど、それほどダメージが大きくないもの(③)はコスト負担と比べて対応します。ここでのコストとは、金銭や時間、労力、心理などの負担です。こちらの課題は放っておいても大丈夫ですが、煩わしかったり、気になったりするかもしれません。そこで、余裕がある時に対処しておきます。

課題の中には発生可能性が低く、例え発生したとしてもさほどダメージのないもの(④)もあります。こちらはしっかりと評価し、考えることでほとんど消えてしまいます。無視する努力をしてみるのも良いでしょう。本当は存在しないのに、怖がっている「お化け」のようなものです。

以上の対応を行えば、少なくとも心理的な負担が大きく改善されます。このような段階をふむ理由は、全ての課題へ一度に対応することが困難なためです。また、対応の必要がない課題もあります。すでに生じた問題を起きなかったことにはできません。一方で、可能性の項目にすべて対応することは非常に難しいといえます。課題を顕在化することの重要性がここにあります。

●リスクの評価と対応

リスクへの対応においても、課題の対応と同じことが言えます。課題やリスクは、放置することで悪影響を受ける可能性が高まります。もしかすると、大きな損害を受けるかもしれません。課題やリスクへの対応を後回しにしても、何も解決はしません。むしろ、長期的に見たら大きな問題になるかもしれません。

上記を踏まえ、あえてリスクを取って挑戦することが必要な場合もあります。すなわち、リスクテイクという考え方です。「リスクのないところにチャンスなし」と言われるように、リスクの先にはベネフィット(利潤)やビジネスチャンスが広がっている場合があります。

リスクも戦略的に考えて、場合によってはあえて挑んでみましょう。私たちが感じているリスクは、ライバルも同じくリスクとして感じていることが多くあります。多数のプレイヤーがリスクと感じている部分には、競争があまりありません。

ただし、やみくもにリスクへの挑戦を行ってはなりません。あくまで、挑戦は慎重に行うべきです。リスクを評価し、どこまで許容できるのかを戦略的に決めることが重要です。リスクが顕在化している部分は、基本的には成功する確率が低いといえます。そこで、勝負をかけるのであれば比較的余裕があり、ビジョン(勝算)と武器(根拠)がある時のみ行います。

いずれにしても、どの程度のリスクまで許容できるのかを決めておきます。リスクの発生確率や大きさ、発生条件を詳細に評価するようにしてください。リスクの許容範囲を事前に決めておくことで、検証しながら修正する、もしくは撤退する、といった行動がとりやすくなります。

●課題やリスクはチャンス

リスクは皆が避けたがるものです。一方で、リスクを別の意味でとらえれば、誰もが取り組まない部分といえます。ここから、もし自分だけがリスクに取り組み、解決できれば大きな差別化要因(武器)となるでしょう。武器が手に入れば、競争へ優位に作用します。このように、リスクの先には競争のないビジネスチャンスがあります。大チャンスになるかもしれません。

課題に対する考え方も同様です。自分に降りかかった課題は、同業者(ライバル)にも発生している可能性があります。いち早く解決することで競争が有利になります。課題解決のノウハウや経験を同業者に売ることも可能です。

しかし、どのような新しいことやリスクでも挑戦する、ということではありません。評価したうえで選択したリスクや課題を戦略的に受け入れるのです。そうすれば、仮に失敗したとしても、解決に向けて努力したことが貴重な経験やノウハウとなります。失敗の大きさにもよりますが、筋力トレーニングをしたと思えば前進ともいえるでしょう。

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