実践経営術エッセンシャル/第13回「損益計算書で読み解く利益の仕組み」

前回のコラムでは、貸借対照表(B/S)の読み解き方をお伝えしました。

実践経営術エッセンシャル版 第12回「貸借対照表で読み解くお金の集め方」

今回は、「損益計算書(P/L)」についての内容です。まずは、損益計算書の概要を確認しましょう。

●損益計算書とは

損益計算書(P/L)は、一定期間の経営成績を記した表です。端的にいえば「この一年でどのくらいの収益があり、どのくらいの費用を支払い、どのくらい損益が生じたのか」を表しています。

損益計算書の内容は、大きく5つの項目に分けることができます。それは営業損益、営業外損益、特別損益、税金、最終損益の5つです。損益計算書を読み解く際は、項目を大きく二つに分類することで理解しやすくなります。ひとつ目は「本来の営業活動」で、売上高から営業利益までの内容を含みます。ふたつ目が「それ以外」で、営業外収益から当期純利益(純損失)までの内容を含みます。

【損益計算書の構成】

●利益の基本計算式

損益計算書の読み解き方を知る前に、利益の基本的な考え方を確認しましょう。全ての業種において、会社は次のステップで利益を得ます。すなわち、①収益を上げる、②そこから費用を支払う、③利益が出る、という形です。日常の経営では、このサイクルを回し続けています。

利益のサイクルを計算式として表現すると次のようになります。とても単純ですが、とても重要な計算式です。

【利益の基本計算式】

一年間、利益のサイクルを回し続けると決算になります。決算は、会社が「今期、どのくらい利益を上げたのか」を計算することです。決算では、年間どのくらい収益を上げ、どのくらい費用を支払ったかを調べます。ですから、普段から帳簿の整理をしていないと大変なことになるのです。

●損益計算書の分析

利益の基本的な考え方を確認したうえで、損益計算書の読み解き方に進みます。今回は5つの利益についてご紹介します。それぞれの利益は、次の考え方で算出します。

〇売上総利益

損益計算書は、売上高からスタートします。売上高は、最も直感的で理解しやすい数値といえます。売上高の根拠を明確にしておくことで、次の施策を立てやすくなります。たとえば、「客数×客単価」などに因数分解する、毎月の売上高を把握する、季節変動を把握しておく、などです。

売上総利益は、おおよその利益を把握するために用いることから粗利益(あらりえき)とも呼びます。この数値は、企業の競争力を測る指標のひとつです。競争力の高い企業ほど同業他社よりも売上総利益の占める割合が大きくなります。

売上総利益の求め方は、売上高より売上原価を差し引きます。売上原価は、製造業なら製造原価、非製造業なら仕入れ値です。売上原価(率)を変えるには大きな変化(イノベーション)が必要になります。製造業の製造原価は精緻であり、仕入れ値は相手があることだからです。

〇営業利益

営業利益は、本業における利益です。この数値は、特に本業を重要視する中小企業にとって最も注目すべき利益といえます。売上高が高くても、経費を多く使っていたら営業利益は少なくなります。

営業利益は、売上総利益から経費を差し引くことで求めます。ここで「経費」とは、一般的に販売費および一般管理費(販管費)を指します。経費は把握しておかなくてはなりませんが、全てを把握することは困難です。そこで、大きな数字の項目や業界特有の項目を中心に把握します。

本来の営業活動を知るために、費用を原価と経費に分けることで複雑化しています。その理由は、より詳細に利益の仕組みを把握できるためです。改めて、決算書は経営者の味方だということを確認しておきましょう。

〇経常利益

経常利益は、営業外の損益を調整することで求めます。営業外収益は本業以外の収益、営業外費用は本業以外の損失です。営業外損益が業績へ大きく影響する大企業にとって、注目すべき利益といえます。特に営業外費用には、有利子負債の利息が入っているので注目します。

〇税引前利益

経常利益に特別損益を反映させたものが税引前利益です。特別損益の特別とは「今回(今年だけ)特別に起こったことで、いつも起こるものではない」という意味です。特別損益の例としては不動産や有価証券の売却による損益が該当します。

〇当期純利益

税引前利益から法人税等の税金を引いて残ったものが当期純利益です。株主への配当や内部留保はここからねん出します。すべての費用を考慮していることから、純粋な経営活動の成果ということができます。一方で、企業へお金を残すためには税金を支払わなければならない、とも考えることができます。

以上に述べた収益と費用の対応について、まとめたものが次の図になります。

【収益と費用の対応】

●損益計算書のチェックポイント

損益計算書を読み解くうえでチェックすべき項目は多岐にわたります。ここでは、代表的なものを数点ご紹介します。

①それぞれの利益はベクトルがどこを向いているか?

上述した5つの利益について、上向きか、横ばいか、下向きかを確認します。ここで大事な点は、比較をすることです。特に、期間を意識して比較しましょう。比較をすることにより、状況の把握と戦略の絞りこみが可能になります。特に中小企業や小規模企業において、経常利益がプラスでも営業利益がマイナスの場合は要注意です。本業で稼げていないからです。

②減価償却は適正に行われているか?(売上原価・販管費)

減価償却が適切に行われていない場合や、減価償却費が極端に低い場合は要注意です。業務効率が悪く、キャッシュフローや設備の状況に影響が出ている場合があります。

③当期純利益はどのくらいか?

経営では、毎期に適度の当期純利益を出し続けることが肝心です。当期純利益は、株主への配当や内部留保、借入可能金額に大きく影響を与えます。税金も関係してくるため、外部の協力機関を活用されることをおすすめします。

【参考】

実践経営術エッセンシャル版 第10回「決算書分析ことはじめ」

「実践経営術」エッセンシャル/第10回 「決算書分析ことはじめ」

 

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