「実践経営術」エッセンシャル/第7回「現状分析7つのポイント」

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 「第七回 現状分析7つのポイント」


「困ったら現状分析に戻れ」と言われるように、現状分析は非常に重要です。しかし、いい加減に行ってしまうと使えないものとなってしまいます。今回は、経営戦略に役立つ現状分析のポイントを学びます。

 

■現状分析の重要性

「現状なんて毎日経営をしているから分かっている」と言いたいところですが、小規模企業だけではなく、比較的大きな中小企業でも現状分析が十分に行われていない例も目立ちます。一方で、現状を書き出し、整理して「見える化」するだけで業績が大きく向上する企業も数多く見られます。中小企業、とりわけ小規模企業は、目の前の仕事に忙しく、業務全体を俯瞰して見直す時間がほとんどありません。課題や問題も毎日のように降ってくるので、その火の粉を払い落すことに追われ、原因などの分析をする時間や抜本的解決を考える時間さえないものです。したがって「どの事業や商品が自分の事業に貢献しているか」という基本的な質問でさえ、改めて問われると、あやふやな答えになってしまうこともあります。自分の状況(内部環境)だけでなく、自分を取り巻く状況も(外部環境)にしても同じです。例えば、原材料が上がった時も、毎日「最近高いな、上がったな」とは認識しているものの、毎日の上り幅自体は小さいので「何とか我慢して高騰している時期を乗り切ろう」と考えがちです。しかし、いったん立ち止まり、改めて1年前と比べて15%も上がっていることが分かれば、「このままでは利益どころか、作れば作るほど赤字幅が広がる。販売価格を変えるとか、製造方法を変えるなど抜本的に変えていかねばならない」と戦略が大きく変わってきます。現状分析はこれからのことを考えていくビジネスプランにおける唯一の現実(確定要素)です。一番安定している部分ということができるでしょう。したがって、経営において問題が生じたら現状分析に戻ってくるようにします。現状分析を行う上で、まず押さえておかなければならないポイントは次の7つです。

 

【現状分析7つのポイント】

1.目的を明確にする

2.情報を集め過ぎない

3.内部環境と外部環境を明確に区別する

4.主観的に「見える化」する

5.「資産」「強み」「成功事例」を集める

6.具体的に詳細に分析する

7.常に現状分析を行う

 

1.目的を明確にする

情報を収集する前に、現状分析の目的、すなわち「誰が何に答えを出したいために行うのか」を明確にしておくことが重要です。通り一辺倒の情報を集めても戦略に結び付かないばかりでなく、かえって戦略が見えなくなってしまうことさえあります。「何のためにこの現状分析を行うのか」という目的を明確にしながら現状分析を行う必要があります。当たり前の話ですが、現状分析をやること自体が目的やゴールとなることはありえなく、その先には戦略があります。戦略を考えるための材料として、情報を集め分析するのです。

 

2.情報を集め過ぎない

現状分析はなるべく多くの情報を集めるような誤解されたイメージを持たれがちですが、情報を多く集めれば集めるほど戦略がわかるというものではありません。また、現実のビジネスの世界では、いつも全ての情報を完璧に得られるわけではありません。「完全な情報など得られない」という割り切りのもとで全てが進んでいくのです。そのため、情報の多さ(量)ではなく、意思決定につながる有効情報を如何に集められるかがポイントとなります。現代のビジネス環境では、情報が多すぎて判断を誤るということも頻発しています。情報を集めることだけ、過度に意識を集中させてはなりません。使える情報にスポットライトを当てていくのです。

 

3.内部環境と外部環境を明確に区別する

現状分析を行うときは、内部環境と外部環境を明確に区別して考えます。内部環境は(努力をすれば)自分たちでどうにかなること、外部環境は自分たちではどうにもならないことです。現状分析はそれ自体が目的ではありません。あくまで、戦略を導き出すために行います。戦略は、外部環境を参考にして内部環境を変えることを考えなければなりません。したがって、最初から明確に区別しておくことは非常に重要なのです。

 

4.主観的に「見える化」する

現状分析は「冷静に自分たちの置かれた立場を明確にする作業」と言われることもありますが、それは間違いで、自分たちが思っていることを「見える化」する作業です。客観的に分析するのではなく、主観的に表現するものなのです。例えば、講習会等で現状分析を講義していると「私たちの技術は県レベルでは一番だが、全国にはまだまだ技術力が高い企業がある。こういう場合、強みですか、弱みですか?」と聞かれたりします。それに対する答えは、「自分たちが強みだと思ったら強み、弱みだと感じているのなら弱みだ」ということなのです。なぜなら、仮にその技術力を「強み」だと思っているのなら、次の戦略は「その強い技術力を活かして何をするのか」ということになるし、「弱み」だと思っているのならば、「その弱みを解消するために教育なり研究開発なりをする」ことが主な戦略になるからです。すなわち、同じレベルの技術力でも捉え方によって戦略が大きく変わるのです。

 

5.「資産」「強み」「成功事例」を集める

特に中小企業・小規模企業は多くの場合、資産に乏しく、また、それを補うアイデアやノウハウにおいても残念ながら画期的なものがない場合が多いのも現実です。そのような中、「あれがあれば、これがあれば…」と考えていても前進しませんし仕方のないことです。「何があるのか」「良いところ、できているところはどこか」「使える実績やノウハウはないか」を必死に探していくことが肝心です。ドラッカーも「成果は問題の解決ではなく、チャンスの開拓によって得られる」言いますが、潜在的な弱みや課題を見つけ出すよりも「チャンスをどのようにモノにするのか」、「自分に有利な状況やチャンスをどのように作り出すのか」が肝心なのです。そのためには、一見、些細に思えるような強みも拾い上げていかなくてはなりません。普段、特に意識していなかった「強み」がイノベーションのきっかけになる例も少なくないのです。特に、過去の成功事例には注目です。成功したことがあるということは、そこにイノベーションの要因が存在していることも多くあります。

 

6.具体的に詳細に分析する

必要な情報、戦略に結び付く情報は、なるべく具体的に詳細に分解して考える必要があります。分解することによって、強みが使いやすくなり、次の戦略、戦術、行動につながりやすくなります。例えば「技術力がある」という強みは、「切削の技術力がある」と「技術開発能力がある」と「技術向上を奨励する社内風土がある」等に分解することで、具体的に何を考えればよいか、次の行動は何か、この強みはどのように使えるか、などの発想を誘引してくれます。

 

7.常に現状分析を行う

私たちの内部環境や外部環境は時間とともに変化するので、常に分析をし、戦略に活かすことが重要です。現状分析とはある時点での状況を表すものですが、経営は毎日動いていますし、外部環境は変化し続けていますので、一定期間ごとに現状分析の修正が必要となるのです。

 

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