「実践経営術」エッセンシャル/第5回 「基本的な経営姿勢を固める」

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 「第五回 基本的な経営姿勢を固める」


企業経営の基本姿勢は「仮説・実行検証・ノウハウ化サイクル」です。しかし、これを深く理解し、実行できている経営者は意外と少ないものです。まずはこれを学び、経営の基本姿勢を作りましょう。

 

■仮説・実行検証・ノウハウ化サイクルとは

仮説・実行検証・ノウハウ化サイクルとは「計画(仮説)を立て、実際に実行し、それを検証することでノウハウを得、修正したり、そのノウハウを使ったりして新たな仮説を立てる」ことを繰り返しながら経営を進めていく手法です。PDCAも基本的には同じ考え方ですが、これがあらゆるビジネスの基本姿勢となり、意識的に回していくことでノウハウが蓄積され、事業が推進されたり、企業や事業が発展したりします。ちょうど回転しながらスパイラルアップしていくイメージです。ミンツバーグも「どんな戦略にも限界がある。したがって実行側からの計画の練り直しである現場とのすり合わせ能力や組織的練り直し能力が大切である(創発的戦略)」と言っているように、どんなに素晴らしい計画であってもそのままうまくいくことはありません。つまり、現代のビジネスにおいては、「これをやれば確実に成功する」といったセオリーがほとんどないのです。うまくいかないのが常なのです。問題は、うまくいかなかったときに適切に修正したり次の戦略に向かったりできるかと言うことなのです。仮説を立てておけば、目論んでいたことと現実との差を測ることができます。思っていたことと何が違うのかを発見することができます。「どうせ外れる計画なら立てない」ではなく、外れるからこそ、仮説・実行検証・ノウハウ化サイクルを回す必要があるのです。

 

■特別なことではない

仮説・実行検証・ノウハウ化サイクルは、経営における特殊な考え方ではなく、一般にも広く使われています。例えば、新しい洋菓子店ができ、初めてショートケーキを買おうとしたとしましょう。この時、買手はショートケーキの見た目やお店の様子、パティシエの雰囲気などから「このショートケーキはおいしい」と仮説を立てます。そして購入し食べることで「やっぱりおいしかった」と実行検証します。すると「この店のショートケーキはおいしい」というノウハウが蓄積(ノウハウのストック)されます。次にその店でモンブランを買おうとした時、買手は既にショートケーキがおいしいという情報(ノウハウ)を持っていますので、モンブランは初めてでも「モンブランもおいしい」という仮説が立てやすくなります。この時はショートケーキの情報(ノウハウ)があることで、初めてショートケーキを買ったときにショートケーキがおいしい確率よりも、今回のモンブランがおいしい確率の方が大きいことに注目してください。そして、モンブランを買って食べてみたらおいしかった。すると「この店はショートケーキだけでなくモンブランもおいしい」という情報(ノウハウ)が溜まります。このノウハウは誰しもが自分で体験しなければならないものでなく、例えば友人から教えてもらっても良いでしょう(ノウハウのシェア)。これを繰り返すことで、ノウハウがどんどん蓄積され、ゆくゆくはこの店のことやケーキのことに詳しくなっていきます。このように、「仮説・検証・ノウハウ化」を繰り返していくことで、どんどん昇華していくイメージをスパイラルアップと言います。

 

■仮説が重要

仮説・実行検証・ノウハウ化サイクルの中で重要かつ最も難しいと言われるのが、出だしである「仮説」です。仮説が立たなければこのサイクルはスタートしませんし、仮説がなくてはせっかく実行検証し、ノウハウが生まれてもそれを認識しないので、ノウハウを蓄積(ストック)できません。混沌とする経営環境では、何をしたら良いのか分からなかったり、なかなか良いアイデアが生まれてこなかったりして思うように仮説を創れなかったりします。しかし、現代ではアイデアは特別な人(アイデアマン)だけのものではなく、考え方の手段をトレーニングし、思考を補助するツールや手法、発想法などを使えば誰でもある一定以上のアイデアを生み出すことができます。質にもよりますが、一般的には仮説が多くあればあるほど有利ですので、発想法などを学び、仮説力を強化することはとても重要です。

 

■確実な実行のためのエビデンス

仮説・検証・ノウハウ化サイクルの中で、既に多くの企業が実行できていることは「実行検証」です。自分たちのやるべき仕事が分かっていても行動に移せない組織(会社)は問題外ですが、ただ単に行動すればよいという事でもなく、「確実な実行」が求められます。経営においては、単純に行うことだけではなく、確実性、質、そして継続が重要です。確実に実行するために、近年特に注目されているのが「エビデンス」です。エビデンスとは「その行動が遂行されたことが分かる項目(証拠)」のことです。例えば、ある日本旅館において、月の決め事が「毎日玄関を掃除する事」だとしましょう。「清掃をやった日は事務所のカレンダーに赤丸を付ける」といったエビデンスを用意しておけば、一カ月後、着実に行動できたかどうかは、カレンダーを見れば一目瞭然です。事務所のカレンダーと掃除をするかどうかは無関係ですが、カレンダー(エビデンス)があることで業務が確実に遂行されたと考えられます。このように一見無関係なものでも、エビデンスを決めておくことで、業務遂行の精度や確実度が大幅に上がります。

 

■ノウハウ化のコツ

ノウハウ化を組織的に、効果的に行うには「ストック」と「シェア」という2つの「しくみ」を作ることが肝心です。「ストック」とは、生まれたノウハウを溜めておく「しくみ」です。一人の場合は、単純に覚えておくということでも良いのですが、組織として行動する場合、「日報を書く」というルールや、「新しいノウハウはマニュアル化する」といった決まりを作っておくなど、より確実にストックできる「しくみ」が必要となります。「シェア」とは、分けて共有する「しくみ」です。会社のように、協労している組織では、全員が「検証」すなわち経験をしなくても、誰かが行なった経験を組織にフィードバックし、共有すれば、組織の成長は早くなります。「週間会議をする」というルールを作るとか、「毎日の成果を翌日の朝礼で発表する」といったことが「シェア」に該当します。

 

■スピードが重要

本田宗一郎氏が「全ての問題はスピードが解決する」と言うように、スピードが非常に大切です。今日の経営は熾烈な競争が展開されています。準備が整ってからやるというのではなかなか勝てません。ある程度の仮説ができたら、とにかくチャレンジし、修正しながら進むという姿勢が大切なのです。経営判断においても、多少確度は悪くとも鮮度が良い判断と、正確を期しているけれど遅い判断とを比較した場合、間違いなく前者が優れていると言われています。限られた情報の中で、どんどん決断し、素早く仮説を立て、実行検証し、そこから確実にノウハウ化していくようにします。ちょうど「仮説・実行検証・ノウハウ化サイクル」を高速回転でぐるぐる回しながらノウハウをどんどん生み出していく感覚です。

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